千葉県立中央図書館の保存活用設計提案_2024年度 / ワークスペース
千葉工業大学大学院(建築学専攻)「建築保存改修設計特論/2024年度」で取り組んだ千葉県立中央図書館の保存活用設計提案の課題におけるワークスペースの提案内容です。
課題概要と2024年度の傾向についてご覧になられていない方は、まずはコチラを参照いただければと思います。
[ 保存活用設計提案の概要 ]
2024年度は、建築材料を専門に学ぶ大学院生(計5名)に多数履修いただきました。その中で、当該分野だけで構成されることになった異色のチームにより取り組まれた提案です。
本チームのテーマとするワークスペース、ひいては他のテーマであっても汎用性の高い建築材料の視点から、設計ではなく次の3つについて改修方法の提案を行うというアプローチになりました。
①柱壁の補修:コンクリート中性化の進行が顕著な箇所を取り除き、亜硝酸リチウム含有エマルションを塗布し、鉄筋を亜硝酸リチウム含有ポリマーセメントで保護する。取り除いた部分について亜硝酸リチウム含有ポリマーセメントモルタルで充填し、斫り仕上げ(ビシャン仕上げ)については、これをあらかじめ施したパネルを特注で製作して覆い、打放しコンクリート仕上げ面はクリアー塗料で保護を行う。柱と梁は、炭素繊維シートを定着プレートとボルトで固定して、モルタルを4cm厚で被覆することで補修する。
②屋上緑化:荷重を鑑み外周に中高木、中央を常緑キリンソウとして、これに必要な屋上防水改修と潅水・排水のシステムを提案。
③トイレ改修:2か所あるうちの西側トイレを多目的トイレとして内部改修し、東側トイレを建て替えて、内部仕上げに漆喰を用いる。
[ 総 評 ]
意匠系不在という、設計課題に取り組む上ではアンバランスなチームメンバーとなったため、割り切って3人それぞれに材料の視点から提案を行ってもらうという方針になりました。
それぞれに努められ、挑戦的というよりは現実的な提案としてまとめられました。もっとも、こう映るのも担当教員が材料分野に精通していないことよるところが大きく、このことは上述した「概要」でも、②屋上緑化と③トイレ改修の記述が少なめになってしまったこととよく関係するところでしょう。
①柱壁の補修における、斫り仕上げ(ビシャン仕上げ)補修に多く関心が及んだことは、指導教員の専門分野との関係性の密接さゆえです。千葉県立中央図書館の外観を大きく左右し、歴史的建造物保存の意味をも左右する箇所になりますが、難易度の高く工数の多い施工をもって提案されたものをみて、改めて難しい課題を孕んでいることを思わされるところでした。
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