千葉県立中央図書館の保存活用設計提案_2023年度 / Dチーム:ワークスペース

千葉工業大学大学院(建築学専攻)「建築保存改修設計特論/2023年度」で取り組んだ千葉県立中央図書館の保存活用設計提案の課題におけるDチーム:ワークスペースの提案内容です。

課題概要と2023年度の傾向についてご覧になられていない方は、まずはコチラを参照いただければと思います。



[ 保存活用設計提案の概要 ]

ワークスペースをテーマとしたDチームがターゲットにしたのは、アドレスホッパーやノマドワーカー。いかにも現代らしいニーズの設定でしたが、多様とはいえ対象は個人であり、長時間・固定化して使用されない用途で施設規模を充足し得ないことから、これと併せて地域還元の方策として児童保育施設やカフェなどを併設し、さらに床パネルを除いて使用制限を図る「減築」によって全体の提案をまとめました。


[ 総 評 ]

本課題(千葉県立中央図書館の保存活用設計提案)の難しさの1つに5000㎡を超える大規模施設を充足するだけのプログラムの設定が容易ではないことが挙げられます。Dチームの提案もこの課題の解消に多く苦心しました。

大局的な視座から社会的課題に建築を通じてアプローチすることは好ましく映りますが、一方で建築はその土地に建つ不動産ですので、その地域におけるニーズにどう応えるかという視点も不可欠であろうと思います。この視点に立った時に、率直に述べてDチームの提案はいくらかアンバランスであるように映るものでした。

上述した提案の概要ではふれませんでしたが、材料分野の研究室所属の履修学生がいたことは、多く意匠系の学生が受講する本科目では特殊なチーム構成となり、耐震補強(「CFD化」と呼んだ鋼板による十字柱補強)のほかマテリアルと施工面からのアプローチでも提案が行われたことに特異性がよく表れており、好ましく見えました。…が、プログラムに相乗してこれに資するまでには及べていないところであり、最終的に分業のようになってしまったことは残念ではありました。

Dチームの取り組みを通じて、活用方法を新たに設定する上で大規模施設でこれを検討することの難しさを改めて考えさせられるところでした。現代の建築では、竣工をもって終わりとなることが一般的ですが、2期、3期と段階的に展開して一度に全てを使い切るような計画にしない ― 時間のデザインといえるでしょうか ― ことにこれを検討する上でのヒントがありそうだなと思います。

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