千葉県立中央図書館の保存活用設計提案_2022年度 / Dチーム:コンバージョン

千葉工業大学大学院(建築学専攻)「建築保存改修設計特論/2022年度」で取り組んだ千葉県立中央図書館の保存活用設計提案の課題におけるDチーム:コンバージョンの提案内容です。

課題概要と2022年度の傾向についてご覧になられていない方は、まずはコチラを参照いただければと思います。



[ 保存活用設計提案の概要 ]

意匠系研究室の大学院生の履修が多い本科目にあって珍しい構造デザイン研究室(2名)と材料系研究室にそれぞれ所属する3名というメンバー構成がDチームになりました。

そんなエンジニアリングに特化したチームが目指したのは、千葉県立中央図書館に採用された希少な構造システムであるプレグリッド・システムの価値を継承する耐震システムの提案とこれに適用できる緑化システムの提案でした。


[ 総 評 ]

Dチームのテーマはコンバージョン。レガシーを除く他テーマも何らかのプログラムを設定する以上は広義ではコンバージョンしていることになりますが、このことは言い換えれば、コンバージョンのテーマというのは、プログラムを厳格に定めずに何にでもプログラムを入れられる状態であるハコとすることが提案として成立するのを意味しているとも言えます。

コンバージョンをテーマに選んだエンジニアリングに特化したメンバーで構成されたチームが向かった先が、プレグリッド・システムをベースにそれぞれの専門領域である構造と材料を適用させて継承に資する耐震補強システムと緑化システムの提案となったのも必然であったのかもしれません(県緑化推進委員会が管轄する施設という一応の設定を敷いていますが、エンジニアリングによるアプローチを設定できる口実程度の位置づけです)

耐震補強システムは、プレグリッド・システムがプレキャスト+プレストレストの技術を下地に格子梁の拡幅によって水平方向に天衣無縫に広がりを持たせられるという理念を引き継ぎこれに挿入する垂直方向の耐震壁に置き換えたというもの。シミュレーションによってブロック形状を決定し、施工プロセスまでを示しておられ、具体的な提案にまで踏み込んでいることは見事でした。

緑化システムもプレグリッド・システムの梁せいと強度負荷を基に植栽できる草木の高さも設定されていて、これが建物内に点在する様子はなかなかに魅力的なものに映ります(もっとも散水などの設備的な部分については検討が及べていないということですが‥‥)

それぞれ魅力的であり、可能性を感じさせるシステムの提案なのですが、千葉県立中央図書館の耐震強度を踏まえた時にどの程度、どの箇所に入れる必要性があるかまでを示されているとより具体的な提案になったと思うのですが‥‥そこまでを要求するというのはハードルが高い話なのかもしれません。

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