千葉県立中央図書館の保存活用設計提案 / Aチーム:ワークスペース

千葉工業大学大学院(建築学専攻)「建築保存改修設計特論」で取り組んだ千葉県立中央図書館の保存活用設計提案の課題におけるAチーム:ワークスペースの提案内容です。

なお、課題概要と経過説明についてご覧になられていない方は、まずはコチラを参照いただければと思います。


[ 保存活用設計提案の概要 ]

Aチームはワークスペースによる保存活用をテーマとして、千葉県立中央図書館の周囲に大学や官庁などが点在するサイトを活かした地域のアダプター・新たなシンボルとなることを目指した提案でした。

一口にワークといっても様々な意味を持ちますが、Aチームが計画したのはFabLab(1F)、カフェ・ギャラリー(2F西側)、フリースペース(3F)、会議室(3F書庫)、コワーキングスペース(4F)、シェアオフィス(4F書庫)と多彩なワークに対応できる内容

設計提案として最も特色が表れているのが4Fのカーテンウォールをセットバックしてバルコニーを設けて、南面の芝生広場にアクセスできるようにして一体的に活用するという点でした。

なお、構造補強については、耐震診断報告書で検討されていた既存の十字柱の炭素繊維巻き補強による八角形柱を採用し、西側2Fの床スラブを撤去というアイディアでした


[ ゲストの講評(要点)]

・既存建築空間の魅力+50年の時間を経て育まれた環境により、ここにしかない豊かなワークスペースを生み出せそうな可能性を感じさせる

・芝生広場を囲う柵のデザインが惜しい

・現実的な耐震補強だが、柱形状の変更により意匠が変わってしまうことは惜しまれる

・既存の建築の用途変更と見えて、「箱」として利用しているだけのように見える

・地域のアダプターとする狙いを示している割には、その回答が見えない


多彩なコンテンツを内包させて、図書館のもつ重要な役割の1つである居場所(サードプレイス)としての性格を継続させようという点は魅力的に見える提案と思います。基本的には公共施設として維持しながら、カフェやコワーキングスペース、シェアオフィスは民間事業者にスペースを貸し出して運営してもらうという形式なのかな…?と受け止めています。

保存活用といっても歴史的建造物の保存再生を重んじるチームとコンバージョン(リノベーション)してストック活用を重んじるチームとで方向性が分かれました。

中でもAチームは千葉県立中央図書館の姿形をなるべく変えないようにする保存再生を特に重視していたチームだったように思います。

その点で積極的に変える方針をとったチームに比べて大人しく見える提案になってしまった側面はあったかもしれませんが、4Fをテラスとして南面の芝生広場と合わせて活用するなど魅力的に使用するために手を入れているところもあり、歴史的建造物の保存再生の提案としてはバランスの取れた現実的な手法をもってまとめられているのではないかと感じています。


みなさんにはAチーム:ワークスペースの保存活用設計提案はどのように映るものとなったでしょうか?ぜひコメントをお寄せいただければ嬉しいです。

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