保存活用に向けての活動計画:活動3についての補足
千葉県立中央図書館の保存活用に関する活動計画では、次の3つの課題を取り組み上の実質的な内容としています。
2.「千葉文化の森」の計画推移と千葉の文教都市景観形成に関する歴史的研究
3.「プレグリッド・システム」の構造解析と耐震改修方法の検討
4.千葉県立中央図書館の活用方法の提案
先に活動2について補足をしてきましたので、ここでは 活動3「プレグリッド・システム」の構造解析と耐震改修方法の検討 について補足したいと思います。
千葉県立中央図書館は2006年に実施したという耐震診断でIs値が0.25と出て、一部に強度不足のあることが明るみになっています。
Is値は構造耐震指標のことを言いまして、震度6強の地震に倒壊せずに耐えられる値として0.6(公共建築では0.7)以上である必要があるとしています。
さらに0.3を下回っていると倒壊の危険性が高いというように定めています。
こうなると千葉県立中央図書館はもう…ともなりそうですが、
Is値というのは当該建物で最も数値の低いところでもって説明されるので、診断結果を額面通りに受け止めるには注意も必要です。
例えば、耐震補強も行なってリニューアルされた米子市公会堂ではIs値が0.15でした。
これは屋根の強度不足であって、全面的に架け替えて強度を高めていますが(もちろんこれ以外にもRC壁面の増し打ちなども合わせて行なっています)、
考え方として大切なことは全部が全部耐震強度が足らないことを示しているわけではないということです。
それと今は円形劇場くらよしフィギュアミュージアムにコンバージョンされた旧倉吉市立明倫小学校円形校舎でもIs値は0.35で強度不足と診断されてきましたが、
2016年に発生した鳥取県中部地震(震度6弱)では大きな被害を被らず、これも保存活用にいくらか関与していた立場としてはホッと胸を撫でおろしてきました。
要するにIs値によって示された耐震強度の実態はどうあれ指標に過ぎないのだな…ということをいくらか経験してきました。
現行の耐震強度基準は1981年の建築基準法改正によって決められたものに準拠しています。
つまり、それ以前に建てられた建造物は基準が異なりますから、耐震強度が足らないのは当然であって、強度不足が明白であることを前提に保存の是非を考える必要があるわけです。
ですので、強度不足をもって解体の妥当性を説明することをよく耳にしますが、これは旧然としたスクラップ&ビルドの考え方に依拠しているともいえ、
サスティナブルの考え方が浸透しつつある今日においては時代に逆行している考え方でもあると言っても過言ではないとも思っています。
とりわけ日本の建設技術は極めて優秀ですから、補強をしようとすれば何とでも出来てしまうというところなのですが、ここで問題となるのが工事費などの金銭面での問題です。
特に公共建築の場合は少なからず税金に依拠するところもありますので、これを存続することは、少子高齢化に直面し社会の担い手世代が減っていく中で将来的に大きな負債をとなっていく危険性を孕んでいます。
千葉県立中央図書館が後世に継承するに相応しい優れたレガシーであることは、
戦後日本の建築技術を語る上で外せないところでもありますし、メタボリズムの「群造形(グループフォーム)」の実践という面でも建築文化に大きく寄与してきた歴史的に重要な建築であり、さらには前後の千葉(地域)の歴史を語る上でも重要であり…
千葉県立中央図書館の高い歴史的・文化的価値を千葉県に生まれ千葉県に育ち、そして千葉県で生活している建築史家として信じて疑わないところです。
先に実施された耐震診断では耐震補強の検討も行われてきたようで、一般には公表されていませんので、ここでも具体的な金額は伏せておきますが、
どうやら一般的な図書館が2つ程度建てられてしまうような極めて高額な改修費用が算出されているようです。
その内容がウソであるとは思えませんが、耐震診断に合わせて行う構造補強計画は一般的に既存建物の意匠性を考慮せず、最もシンプルな形での(特にブレースによる)補強が提案されることを多く見聞きします。
こうしたことから千葉県立中央図書館の保存活用活動では、構造の専門家に協力をいただいて知恵を凝らすことで、意匠面に配慮して費用も抑えられた耐震改修方法を提案できないかと考えています。
これによって少しでも千葉県立中央図書館の保存活用の実現性を高めるものとなればと思っています。
もっともフタを開けて見たら厳しい現実が待っているという可能性はないとも言い切れませんが、やってみないとわかりませんので…光明が見えることを望むばかりです。
2.「千葉文化の森」の計画推移と千葉の文教都市景観形成に関する歴史的研究
3.「プレグリッド・システム」の構造解析と耐震改修方法の検討
4.千葉県立中央図書館の活用方法の提案
先に活動2について補足をしてきましたので、ここでは 活動3「プレグリッド・システム」の構造解析と耐震改修方法の検討 について補足したいと思います。
千葉県立中央図書館は2006年に実施したという耐震診断でIs値が0.25と出て、一部に強度不足のあることが明るみになっています。
Is値は構造耐震指標のことを言いまして、震度6強の地震に倒壊せずに耐えられる値として0.6(公共建築では0.7)以上である必要があるとしています。
さらに0.3を下回っていると倒壊の危険性が高いというように定めています。
こうなると千葉県立中央図書館はもう…ともなりそうですが、
Is値というのは当該建物で最も数値の低いところでもって説明されるので、診断結果を額面通りに受け止めるには注意も必要です。
例えば、耐震補強も行なってリニューアルされた米子市公会堂ではIs値が0.15でした。
これは屋根の強度不足であって、全面的に架け替えて強度を高めていますが(もちろんこれ以外にもRC壁面の増し打ちなども合わせて行なっています)、
考え方として大切なことは全部が全部耐震強度が足らないことを示しているわけではないということです。
それと今は円形劇場くらよしフィギュアミュージアムにコンバージョンされた旧倉吉市立明倫小学校円形校舎でもIs値は0.35で強度不足と診断されてきましたが、
2016年に発生した鳥取県中部地震(震度6弱)では大きな被害を被らず、これも保存活用にいくらか関与していた立場としてはホッと胸を撫でおろしてきました。
要するにIs値によって示された耐震強度の実態はどうあれ指標に過ぎないのだな…ということをいくらか経験してきました。
現行の耐震強度基準は1981年の建築基準法改正によって決められたものに準拠しています。
つまり、それ以前に建てられた建造物は基準が異なりますから、耐震強度が足らないのは当然であって、強度不足が明白であることを前提に保存の是非を考える必要があるわけです。
ですので、強度不足をもって解体の妥当性を説明することをよく耳にしますが、これは旧然としたスクラップ&ビルドの考え方に依拠しているともいえ、
サスティナブルの考え方が浸透しつつある今日においては時代に逆行している考え方でもあると言っても過言ではないとも思っています。
とりわけ日本の建設技術は極めて優秀ですから、補強をしようとすれば何とでも出来てしまうというところなのですが、ここで問題となるのが工事費などの金銭面での問題です。
特に公共建築の場合は少なからず税金に依拠するところもありますので、これを存続することは、少子高齢化に直面し社会の担い手世代が減っていく中で将来的に大きな負債をとなっていく危険性を孕んでいます。
千葉県立中央図書館が後世に継承するに相応しい優れたレガシーであることは、
戦後日本の建築技術を語る上で外せないところでもありますし、メタボリズムの「群造形(グループフォーム)」の実践という面でも建築文化に大きく寄与してきた歴史的に重要な建築であり、さらには前後の千葉(地域)の歴史を語る上でも重要であり…
千葉県立中央図書館の高い歴史的・文化的価値を千葉県に生まれ千葉県に育ち、そして千葉県で生活している建築史家として信じて疑わないところです。
先に実施された耐震診断では耐震補強の検討も行われてきたようで、一般には公表されていませんので、ここでも具体的な金額は伏せておきますが、
どうやら一般的な図書館が2つ程度建てられてしまうような極めて高額な改修費用が算出されているようです。
その内容がウソであるとは思えませんが、耐震診断に合わせて行う構造補強計画は一般的に既存建物の意匠性を考慮せず、最もシンプルな形での(特にブレースによる)補強が提案されることを多く見聞きします。
こうしたことから千葉県立中央図書館の保存活用活動では、構造の専門家に協力をいただいて知恵を凝らすことで、意匠面に配慮して費用も抑えられた耐震改修方法を提案できないかと考えています。
これによって少しでも千葉県立中央図書館の保存活用の実現性を高めるものとなればと思っています。
もっともフタを開けて見たら厳しい現実が待っているという可能性はないとも言い切れませんが、やってみないとわかりませんので…光明が見えることを望むばかりです。
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